裏の厨房で反省してます

許して アタシのでたらめ人生

おばさんには向かない職業 居酒屋厨房バイト

金曜日ですね。新宿は、花の賑わいですよ。

 

居酒屋バイトについて、何の知識もなかった富士子44歳(当時)ですが、ま、キッチンって言うぐらいだからおばさん向きよねきっと、と、その辺はラフな感じで応募したんですけどね。

 

大間違いでした。

 

そもそも制服のサイズがなかったね、どれもメンズらしくて。想定外でした、これ。いや「サイズがないなんて、考えられない、想定外だったわ」って話じゃなくて、。あたしの存在そのものが、想定外だったんだなー、って。小さいおばちゃんが来るって、まったくの想定外だったんだなー、って。

 

それから、棚の位置が高いです。串とかお皿とか、あたしの作業に必要なものが、もれなく高いところにあります。めいっぱい爪先立ちして手を伸ばして取るわけだけど。

 爪先立ちって言ったらさ。普通は、かかとを上げる程度よね。親指の付け根から後ろを上げることもあるけど、まあ、せいぜいそんなものよね。だけど、あたしがやってるのは、親指のつま先で立つ、です。もはや、バレリーナのポーズです。トウシューズあります?っていうレベルですよ。あたしね、棚のものを取るために、毎日必ず、このバレリーナポーズやってます。たまに、足をつるんですが、もう、激痛です。

 

「冷蔵庫」って聞いて、普通の冷蔵庫を想像してたら、部屋だったときは驚きました。めちゃくちゃ寒い部屋。なんなら、コタツ出してババ抜きもできちゃう広さ。

ここで食材探すとかね、もう、罰ゲームに近い。あたし、いったい何に負けたんだっけ? 社会?人生?ババ抜き? とか思い始めると、心も寒くなってきます。

 

その奥には、冷凍部屋もあってね。ぶるぶる震えながら肉を探してたら、店長が「あんまり長くいると、死ぬよ」って。その発言に、死ぬほど驚きましたね。 まさか命がけで肉探しするとはね。おばちゃんの予想を超えてた。

 

「洗浄機」ってのがあってね、毎朝、あたしがお湯入れてるんだけどね。75度よ。ホース外すの失敗すると、ちょっと飛び上がります。「あづっ!」とか言って。

 

メインの仕事が「食材を串に刺す」。よく、動物とのふれあいが高じて、心が通じ合う、とか言うよね。ペットの気持ちがわかる、とか。それで言ったらね、そろそろ会話できるんじゃないか、ってくらい、椎茸とのふれあいしてます。「なんか嫌なことあった? 随分小さめだけど」なんてね。たまに肉を刺すと、もれなく指も刺しちゃう。その上、作業時間は、下手すると一時間強かかります。ずっと下向いて立ってるんで、腰痛が出ます。 

 

で、何よりも困るのはね、「新しいことがなかなか覚えられない」っつーことです。

 

最難関は、串焼きの串の名前。がつ、もつ、はつ、てっぽー、とかね。「肉を見分けられると楽ですよ」なんて言われてもね、豚の内臓なんて、いきなり見分けつきませんよ。しかも「もつ」を「しろ」とか言ったりもするのよ。そんな業界用語、丁稚からやってなきゃ、わかんねーっつーの!慌てて、メモ帳を買いましたよ。ダイソーで。

 

もうね、居酒屋厨房、全然おばさん向けの職場じゃなかったです。

やっていけるのか富士子。

 

明日が楽しみです。