裏の厨房で反省してます

許して アタシのでたらめ人生

憧れの「まかない」 厨房バイトのお楽しみ

 

食べるの大好き45歳、富士子です。

ご飯はデフォルトで2膳。おやつは一日2回。

体型なんか気にしないわ!(うそです、おなかが隠れる大きめサイズを愛用)

 

「あれ、美味しいんだろうなぁ」っていう、憧れの食べ物って、あるよね。

はじめ人間ギャートルズに出てくる、骨付き肉とか。

酔っ払ったマスオさんが、千鳥足でぶら下げてるお土産の包みとか。(あれは寿司か?)

ハイジが飲んでるミルクとか。

 

実際に見たことないけど、「きっと美味しいに違いない」と妄想を掻き立ててくる魅惑の食べ物。

 

あたしにとって、「まかない」も、まさにそうでした。

 

まかないって、そこで働く人だけが味わえる、ひみつの食べ物ですよね。メニューの料理は注文できるけど、まかないは、注文できない。しかも、たいていの場合、メニューにはない料理が出てくるらしいのです。一体、何を食べてるんだろう、みんな…って、気になりませんか?

 

もちろんお客様用ではないから、パパっと、チャチャっと、簡単に作られてるわけですよね。でも、テレビや雑誌の「名店の賄い飯特集」的な記事を見ると、市販のレトルトなどは使わず、厨房にある食材でちゃんと作ってる。実際、そのほうが安上がりなんでしょうね。プロが、厨房の食材で作る料理なんだから、間違いなく美味しいはず!

 

加えて。

美味しいにも関わらず、食べてる人たちは毎日のことだからそんなのは普通なわけです。強い思い入れは全くない(ように見える)。聞かれりゃあ、「あ、美味しいですよ。シェフが作ってくれるんで」とか答えてるけど、心の中で「それが何か?」とか思ってそう。それくらい、食べてる人には当たり前の食事なわけです。

 

それなのに!

一般人は、決して食べることはできないんです。一生食べずに死ぬんですよ。

お金を出すから!と言ってみてもダメ。「売り物ではないので」って言われるだけ。

 

そうなるとね。なんか、余計、そそられませんか?

 

例えばね。

好きな人がいたとしましょう。その人のことを知りたい!と思いますよね。最初は、「どんなことでもいいから知りたい」けど、そのうち「他の人に見せない面を知りたい」「気を許した相手だけに見せる表情を知りたい」「素顔を見たい」…と願うようになりませんか。

そんな時に、もしも、自分以外の誰かが、彼(彼女)の素顔を毎日のように見ているとしたら。

外向きの顔じゃなくて素顔を、当たり前のように見ていて、しかもその貴重さを全く感じていないとしたら。

余計、そそられるでしょ!

その羨ましさたるや、「是非、変わってくれ!」と叫びたいくらいでしょ!

 

いやー、「秘すれば花」とはよく言ったもんですね。

一般人には食べられない、という、まかないの宿命が、「秘すれば花」感を猛烈にかもし出してる。

それが、「好きな人の素顔」に勝るとも劣らないくらい、あたしをそそるのです。



それからね、「賄う」っていう言葉もすごくイイと思う。

整えてあげるとか、都合するっていう意味だけど、相手のために心をくだく優しさが込められてる気がする。美味しいものにぴったりな言葉だと思うの。

 

あとね、「まかない」っていう、語感も好き。

「ま・か・な」は母音がすべて「あ」。柔らかくて、包み込まれる感じがする。いかにも、美味しそう!

 

いつか…。

いつか食べてみたいわ、「まかない」ってもんを。

厨房の片隅や、裏口の踊り場や、屋上の室外機のそばで、仕事の合間に食べるご馳走。

どんなにお客さんが多くて忙しくても、厨房の人たちが、働く人のために作った食事。

短い時間で掻きこむように食べても、いやだからこそ、きっと美味しいに違いない。

 

 

そして今…。

食べてます、「まかない」。 美味しいですよ、それはもう!

 

44歳で会社をクビになり、人生の崖っぷちで始めた厨房のバイトですが…。

不安まみれのバイト生活ですが…。

憧れの「まかない」を食べられた!

会社員時代には、考えられなかったことです。

 

人生、何が起こるかわかりませんね。

捨てたもんじゃないです。



ちなみに、今日の「まかない」は、お好み焼きでした!

金髪のバイト・天使くん(33歳)作。

フライパンを振る姿が凛々しくて、お見せできないのが残念なくらい。

 

明日もバイト、がんばろう!