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裏の厨房で反省してます

許して キッチン男子

おばさんバイト、ツイッターで若者をフォローしたら

 

若者のすなるついったーといふものを、中年女もしてみむとてするなり。

                     新宿日記  富士子


ブログの更新が滞り気味の、富士子(45歳)です。
昼は居酒屋厨房で、夜はゴールデン街でバイトしてます。


かけもちバイトには慣れてきたのですが、やっぱり
ブログを書く持久力が、ぐんぐん低下する今日この頃…。

 

実は、今年のあたまに、きまぐれにtwitterを始めてました。

まかないがカレーだったとか、おやつにクッキー食べたとか、
備忘録っぽく使っていましたが、
誰がフォローしてくれるでもなく、誰をフォローしていいかもわからず、
何週間も放置することもしばしば。

ツイッター、意味がないなあ、止めようかなあ…
って、漠然と途方にくれていた頃。

 

厨房で働くツイッタラーさん、いないかなーと検索していたら、
この子是非応援したい!っていう男子が現れましてね、奥さん。

料理人を目指してる、大阪在住の17歳の若者です。

どうやら、中学を出て高校に通ってはいるらしいのですが、
日中は、板前修業をしている様子。
プロフィールにそんなことが書かれてて、ツイートもお仕事のことがたくさん。

といっても、そこは十代ですからね。

仕事の弱音を吐いたと思ったら、「やったるで!」なガッツ表明をしてみたり。
おやおや体育会系?と思ったら、「誰かあそばへん~?」な寂しがりだったり。
後輩を叱り飛ばしたと思ったら、「彼女ほしいわ~」と弱気になったり。

お、面白いっ…!
元気のいい十代の少年、かなり、いいぞ!

たまに写真もUPされるのですが、これがまた、絵に描いたようなヤンキーでねぇ。

背中一面に、昇り竜と短歌のようなものを刺繍した
ながーい学ランを来た若者が、ズラっと並んでたり、とか。

そんな若者たちが、何かの祭壇に一礼してたり、とか。

夜の歩道橋下に集って、ポーズとってたり、とか。


もうね、毎度毎度の飽きのこない展開。

「フォローのしがいあるわ~」

と楽しみに読んでおりましたが…。


あるとき、地元(関西)のお祭りに行ったときのツイートに、
男の子の写真が写りこんでたんですよ。

「T君も一緒やで」という言葉とともに。
「すれ違う知人に、元気出せよ、と声をかけてもらった」という言葉も。

 


その後、またも地元のお祭りシーズンが近づいてきて、
御神輿を引っ張る練習が始まったのです。
彼のツイートは、その練習がメインになって行きました。

「今日も、T君と一緒やで!」という呟きとともに、
たびたび、練習風景の写真がUPされるようになったのですが。

前にも見た、T君の写真がまたも写りこんでる。

よくよく見て気が付いた。
T君の遺影だったの。

 


確かに、今までに、T君の健康を気遣うツイートがちらほらあったよなぁ。

あらためて、彼のツイートを見直して、胸を衝かれました。

T君は、彼と同じ17歳でガンに冒され、命を落としていたのです。


それを踏まえて彼のツイートを読むと、全く違う風景が現れました。

 

刺繍入りの長い学ラン姿は、彼らの中学の卒業式のもの。

T君と思しき少年が、その学ラン姿でポーズをとる写真が何枚もUPされていました。
「T、ずっと一緒やで」という言葉と一緒に。

Tくんの学ランを「かっこええわぁ」と褒める女子のツイートを
彼が、「良かったな、T」とリツイートしてるのもありました。

それらはみんな、逝ってしまったT君を想ってのつぶやきだったの。


そして、祭壇に一礼するヤンキーたちの写真は、T君の葬儀での一幕でした。

彼らは「正装」して、T君の葬儀に集まっていたのです。


頭を殴られたような衝撃、って、こういうことを言うんだろうな。

あたし、全然わからなかったよ。
イキのいい若者の、やんちゃな仲良し風景だと思ってた。
「アホだなー、好きだわーこういう子」って、見てた。

全然違った。


T君自身のツイートもリツイートされていて、
T君のアカウントを見ることも出来ました。

「誰か遊ばへんー」
「頑張らんと」
「明日には帰れるで!」

一見すると、ごくありふれた普通の独りごとだけど。

病と闘うT君は、どんな思いで呟いたんだろうか…。


「あーもう、なんで俺なんや」

この数文字に、どれだけ悲痛な気持ちがこもっていただろうか…。

 

見るからに、気持ちを言葉にするのが苦手そうな、
Tくんおよび彼の、不器用でストレートなツイートの数々。

あたしは、涙が止まらなくなっちゃって。


彼らは、病気という状況をツイッターではわざわざ説明しないんだよね。
その時々の思いを、短い言葉でつづるだけ。

しかも、それはふだんの言葉なの。
かしこまっても飾ってもいない、ふだん使う普通の言葉なのよ。

彼らのやり切れなさが、リアルに伝わってきてね。

あたしは、夜中に一人で、PCの前で号泣してしまった。

 


「Tの分も生き抜く!」と
T君の遺影とともに、御神輿を引いて走る彼。

「Tの生きたかった一日は、今日のこの一日なんだ」とばかりに。


***


ツイッターって不思議だよね。
ブログは、かしこまって文章を書くツールだけど、
ツイッターは、何も構えず、リアルタイムに気分を書き込める。

あたしの世代だと、情報収集や意見交換にツイッターを使う人も多い。

でも、あたしには、17歳の彼らのリアルと本音を写し取ったことが、
ツイッターのすごいところだと思える。

特定の友だちとつながるLINEでもなく、ましてやブログでもない。
緩く誰とでもつながるツイッターならでは、だと思うの。

 

「なんで俺なんや」

スマホの画面に打ち込む言葉は、誰に向けてなんだろうか。
友だち? 自分? 神さま?
きっと全部なんだろうね。


***


あたしも、一日を大事に過ごそう。 


今日もバイト、頑張るでー!!