おばさんバイト、超弩級の凹み。マジ。
寒いですね。
新宿は抜けるような青空でした。
あの空の向こうには、天国があるのかしら。
今日も、この一ヶ月凹んでいた理由シリーズです。
先月末に、超弩級の凹み案件がきました。
もう、凹みから浮上したつもりで、このシリーズを始めたのに、
まさかこんな案件がくるとは。
胸にしまっておこうと思ったけど、思い切って。
あたしは、作家の個人事務所で働いていました。
最初は、ユーモア作品を描く先生のところで12年くらい。
その後、ホラー作品を描く先生に2年ちょっとお世話になったの。
ユーモア作品の先生は、あたしの在職中に天国に逝ってしまいました。
先生との、静かで穏やかで、しかもアルコール漬けのどうしようもない日々は、
あたしの人生観を変えました。
先生がペンを持って描きはじめるときの、時間が止まったような緊張と、
何かが生まれる暖かい感じを思い出すと、今でもしあわせになります。
先生の部屋には、たくさんの蔵書とスクラップブック、ペンや文房具があったの。
どれも使い古されて、長い時間そこにあって、先生の一部になっている。
キッチン男子たちがお料理を作っている厨房にも、年季の入った道具が並んでる。
使い込まれた笊、でこぼこのお鍋、たくさんのボールやバット、調味料。
あたしは、バイト先の厨房に、先生の仕事場と同じ暖かさを感じるの。
とりわけ、料理長が無駄な動きをせず、静かに素早くお料理をする様子は、
先生がペンを持ったときの姿と、すごく似てる。
先生は、魔法のように描く。
料理長は、魔法のようにお料理する。
あたしは、先生のそばにいたのと同じように、毎日幸せな気持ちで働いてたの。
2番目に働いていたホラー作家の事務所は、2年前に辞めました。
代表を務める先生の娘さんに、クビを言い渡されたから。
先生には、自主退社ということになってました。
辞めると知った先生は、使い慣れた筆で色紙を描いてくれました。
あたしにはずっとよくしてくれて、優しい先生だった。
ユーモア先生はもういないけど、あたしは厨房で元気に働いてて、
ホラー先生のお手伝いはもうできないけど、先生は元気に活躍してる。
あたしはそれなりに、満ち足りた気持ちだった。
なのに…。
先日、そのホラー作家の先生が亡くなったの。
ご高齢ではあったけど、あまりに突然だった。
あたしは、しばらく動けなかった。
あの先生も、天国に逝ってしまった…。
ああ、ユーモア先生が亡くなったときのことまで思い出す。
自分の体に穴が開いたように思うけど、ちっとも体は痛くない。
体中がバラバラになったように思うけど、ちゃんと体は動かせる。
傷ついたのは心なんだ、って、しばらく気が付かないほどのショック。
あの時は、事務所にマスコミがたくさんきて、電話が鳴り続けて、
最後に食事したのがいつか思い出せないほど、対応に追いまくられた……
ああ、色んな思いが湧き出てくる。
今頃、ホラー作家の事務所も大変だろうに。
クビになったあたしには、何のお手伝いも出来ない。何の役にも立たない。
バカだな、あたしは。
なんでクビになるようなヘマをしたんだろ。
クビといえば、ユーモア先生の事務所だって、
あとから社長になった娘さんにクビになった。
ほんっと、あたしバカ。
今の厨房だって、のびしろなくって、停滞してる。
Facebookも、うまくいってない。
何やってんだろ、あたし。
先生がいなくなってしまった喪失感と、自分のふがいなさがあいまって、
鬱々と落ち込んでいく。
好きだった厨房の風景や料理長の手さばきを見ていても、
もう、悲しいことしか思い出せなくなってしまった。
いつでも、暖かい気持ちになれる場所だったのに。
料理長を先生に重ねていたことも、大きな間違いに思えてくる。
失ったものを、追いかけてただけじゃないの。
あたしが大好きで大事にしてたものって、なんなの…。
今日は、二週間ぶりに、厨房バイトがお休みでした。
何もする気が起きなくて、布団をかぶって、でも好きなブログ見てた。
そのせいか、西日の当たる部屋で、暗い思いで、夕焼け見てたら、
このことをブログに書く気持ちだけが沸いてきたの。
週明け、元気に厨房に行けるだろうか。
先生、あたしに力をちょうだい。
ご冥福を祈るべきなのに、すがってる…。
今の富士子はこんな感じ。
なんか申し訳ないです。
読んでくれてありがとう。