料理長かっこいい!
バイト先の居酒屋は、新宿にあるんですが。
年の瀬が迫ると、ご近所の花園神社で、酉の市をやってます。これねー、毎年はずせないのよね。なぜって、「飴細工」の屋台が出るから。
木箱の中に、とろとろの飴が入ってて、職人さんがそれを丸く割り箸に絡めて、指で形を作りながら、はさみでチョンチョンって、動物の形を作ってくれるの。
過去、うま、ペガサス、龍、とお願いしてきて、今年は、ゴジラをオーダー。
もうね、この職人さんがいなくなったら、酉の市、行かねえ。ってくらい、好きです。飴細工。
さて、そんな職人仕事LOVEなあたしが、最も感動した場面@居酒屋キッチン。
バイトを始めたばかりの頃。料理長(色白で華奢)が、大根のかつらむきをしていました。それが、すごかったの。大根が、向こう側が見えるほど透き通って薄くむかれて、くるくる出てくるのよ。しかも、 きれいな長方形にむきとられてるの。
白くて透明で、繊維の筋がうっすら模様のように浮かび上がって、まるで、丁寧に漉き込まれた上等な和紙のよう。
なんてきれいなの!これなに?何ができるの?
みずみずしく、しっとりしたその大根を、料理長は丁寧にまな板に重ねてたわ。で、手のひらで上からそっと押さえてから、細長く、素早く刻んでいったの。大根は、つやつや光る白い糸みたいになって、みるみるまな板にたまっていった。なんだか、魔法を見ているようだったわ。
ああ、これ、大根の、つまなのね!
料理長は、それをざるに移してボールに入れ、蛇口から水を注ぎました。ざるは、もう何年も使い込んだものらしくて、ふちがでこぼこ。たまった水が、でこぼこのふちからこぼれだすと、きらきらして、すごくきれい!
すっかり見惚れました。お刺身のつまがこんなに美しく作られているの、初めて見た!
料理長。かっこいい!マジで、超かっこいい!!
こんなにかっこよかったなんて。もう、もっと早く言ってよー。
あれ以来、料理長とは緊張してうまくしゃべれません。
確か、バイトの面接の時って、結構リラックスして馴れ馴れしく会話してたんだよねー。わかってなかったんだよねー、料理長の仕事のレベルとかっこよさを。知らないって怖いよねー。
そんでもって、大根のつまの作り方も知らなかったこのあたしが、果たして、ここでやっていけるのか?っていう新たな不安が増えました。本当に、知らないって、怖いです。
明日もバイト、がんばります。