料理長と天使くんに見惚れて反省
今日は立春だそうで、一番寒い日らしい。
新宿には、刷毛で掃いたような薄い雲が浮かんでます。
ピリッと寒い!
昨日の仕込みバイトは、料理長(かっこいい)と天使くん(33歳)、
そして、あたし富士子(45歳)の3人でした。
監督&4番打者&玉拾い、っていう組み合わせですよ。
あたしの戦力外っぷりが、浮き彫りになった数時間。
でもね、あたしの仕事も椎茸と獅子唐とアスパラ、エリンギ、くらいだったからね。
結構、楽勝。 って感じ?
早めに終わっちゃったので、「お手伝いすることありますか?」なんて、余裕かまして料理長(かっこいい)に聞いたりして、結構大人っぽくできました。
で、料理長(かっこいい)が肉の塊から切り出したタンやハツを、串に刺すのをお手伝い。これね、ちょっとやったことあるから大丈夫よ、あたし。
肉を切り終わった料理長(かっこいい)は、今度はおつまみの珍味の下拵えに入ります。
マットな色感の、乾燥させていない昆布を取り出して、細く切っていきました。
天使くん(33歳)は、大粒の南高梅をまな板に広げて、種を取り除いていきます。
この梅を裏ごしして昆布と和えると、甘すぎず酸っぱすぎず、美味しいペーストになるのですよ!鶯宿梅(おうしゅくばい)っていうらしい。
作り方はもっと複雑だけど、あたしは良くわかりません。
でねでね!この後が凄かったの。
あたしが、タンの串打ちをしているのが中央の位置とすると…
左側で料理長(かっこいい)が、上等の昆布を素早くカット中。
右側で天使くん(スピード王子)が、手早く梅の下処理中。
監督&四番打者によるダブル職人技を、独占鑑賞ですよ、奥さん!
これを僥倖といわずして何といおう。
ふたりとも、超かっこいいのよ!
天使くんの動きは、ビートの利いたパワープレイ系で、安定のスピードとリズムが特徴です。それでいて、丁寧なのが神業。
一方の料理長は、ものすごく静か。繊細。実はなにもしていないんじゃないか、っていうくらい、動きが穏やか。早いように見えないけれど、すごくきれいに何でも仕上げて、当然早い。もはや、魔法に近い。
つやつやの南高梅が、種を除かれて柔らかく光っている。
しっとりした昆布は黒のグラデーションがきれいで、細く刻まれると小さな塩の粒々がキラキラして見える。
天使くんや料理長が、静かできれいな手仕事で食べ物を作っていくのを見てると、幸せな気持ちになる。
うわーい! この席、すごくいいわー!
って、タンを串に刺しながら、大変満足な時間を過ごしました。
タンの後に、カシラもハツもあったのですが、鑑賞しつつ粛々と作業を進めまして、ようやく刺し終えたそのとき。
料理長(かっこいい)が、「飯にしよう」と天使くんに声をかけました。
「え、まだ途中ですよ?」と、キョトンとする天使くん。
キッチン男子たちは、キリのいいところまできっちり作業を終わらせるのが常なのに、天使くんは梅の種取りの真っ最中。
料理長だって、昆布を全部切り終えたわけじゃない。
だから、天使くんは、料理長の指示にちょっと驚いたみたいだった。
したら、料理長、
「うん、富士子さん待ちだったんで」
ええっ?
あたし待ち?
もしかして、この下拵え、あたしが時間かかるから、仕方なくやってた?
「すっ、すみません!」と慌てて謝る富士子(45歳)。
大急ぎで肉にラップをして、冷蔵庫に運びましたよ。
いやー。
独占鑑賞にふけってる場合じゃなかった…。
「早く終わんないかな」って、ずーーっと思ってたんだな…料理長(かっこいい)。
あたしがカシラやハツを串に刺すのを、「まだかなー」って思いつつ、見てたんだな。
全く気がついていませんでした…。
浮かれてました…。
すみません。
そんな昨日でしたが、今日もめげずにバイトです。
今日は、大久保くん(仮名24歳)のラストの日。
今までの御礼を伝えてきます。
行ってきまーす!