憧れの料理長、競馬がお好き
居酒屋厨房で、野菜を串に刺している富士子(45歳)です。
仕事するとき、憧れの人がいると、張り合いが出ますよね。
いや、異性として、ってことじゃないです。仕事や人生の先輩として、って意味です。
あたしはね、「時給850円バイトで生きていく」っていう相当な崖っぷちを歩いてるおばさんですからね、もう、男性とか恋とかイケメンとか、うつつを抜かす余裕はありません。そんなん超えたところに、問題抱えてます。食べてけるのか、っつー問題をね。
仕事って、生活のためにするものですが、それだけだとモチベーションが続かないもんです。「もっと仕事ができるようになりたいな」とか「みんなと仲良く働きたいな」とか「頼りにされるように頑張ろう」とか、ささやかな願いや目標を持ってると、毎日の仕事もそれなりに楽しみになってきます。そんなときに、「こうありたい」と思える憧れの人がいると、ぐっと力も入ってくるってもんです。
崖っぷち人生まっしぐらの富士子(45歳)の憧れの人は…。
今までに、さんざん書き連ねてますけど…。
料理長(かっこいい)なんですよっ、奥さん!
料理長(かっこいい)のどこにどう憧れているのか、っていうのを掘り下げて見ようかと、ちょっと自分の心の扉を開いてみたのですが…。
あたしの人生に足りない部分とか、人格上の欠点とか、過去の職場での失敗の数々とか、思い出すのもおぞましいダークサイドに向き合うことになりそうなので、やめました。
実際、富士子が自分のブラックさに嫌気がさすと同時に、料理長に心の底から憧れた事件はこちら。 ちょっとキレちゃって反省
憧れの料理長(かっこいい)とは、毎日のようにバイト先で顔を合わせてるんですけど、実は、ちゃんとしゃべったことが殆どないです。仕事中に、さして雑談が出来るわけでもなく、仕事が終われば、すぐにまかないの時間。キッチン男子たちは、黙ってもくもくとお箸を動かし、食べ終えたらすぐにスマホでゲーム始めたりして、あまりおしゃべりはしません。あたしは、みんなのお皿を洗ったら、さっさと帰るだけです。
料理長(かっこいい)がどういう人なのかもっと知りたいけど、とりつくしまがない。
接点ゼロ。
毎日、接点ゼロ!
そんなパッとしない日々を送るうち、ふと思い出した。
去年の暮れ、料理長(かっこいい)がスポーツ新聞を広げてたことを。
「有馬記念」の予想をしていたことを!
何を隠そう、富士子(45歳)の実家は東京競馬場の近く。G1レースともなれば、パドックでサラブレッドを間近に見物し、レースのどよめきを体中で感じ、勝っても負けても気持ちよい興奮を味わう、っつー大人の娯楽を嗜んで育ちました。
以後、何度かブランクをはさみつつも、シーズンにはメインレースをチェキするのは、長年の慣わしとなっております。
ちなみに、あたしの去年の有馬記念ですが…。
日ごろから女子応援気質の富士子は、レースでも牝馬にテコ入れする傾向がありまして、ジェンティルドンナに一票入れて大当たり!
奇しくも、今回は彼女の引退レースでもありました。最後の疾走を、文字通り有終の美で飾ったベテランの彼女に、つい自分を重ねてしまい(図々しい)、表彰式のシーンでは思わず涙が出そうになりました。
1月に入って、ちょくちょく気になるレースが始まりましたが、小さいレースだと予想は難しい。その分、あーでもないこーでもない、と考えるのが楽しいわけで…。
チャンスですよ。これはチャンスですよ!奥さんっ
聞いてみましょうよ、料理長(かっこいい)に!
「フェアリーステークスって、やったりしますか?」
ちなみに、3歳牝馬のレースなんすけどね。
「え? 富士子さん、競馬やるんですか」
っつって、来そうな馬を教えてくれましたよ!
イエーイ!
それ以来。
時々、本当に時々だけど、レースの話をするようになりました!
二人とも、なかなか当たりませんけどね。
あたしは、馬が勝負をするレースそのものが好きなので、当たらなくても気にしません。100円単位でしか買わないしね。人気のない馬が思いがけず力走したり、地道に2着を繰り返す堅実な馬がいたり、ひっそりと引退する馬がいたり、そんな小さなドラマに胸が熱くなるのが、競馬の面白いところです。
どこまで楽しさを分かち合えるかわからないけど、料理長(かっこいい)と話が出来るのが単純に嬉しいです。わーい!
ただねー。「最初に出会った名馬」的な話をしてたときにねー。
「オグリキャップがちょうど活躍し始めて…」
ってあたしが言ったら、料理長がすかさず、
「それはさすがに知りませんね。俺は、ナリタブライアンですね」
って言いやがってねー。
ちょっとさー。
オグリとナリタブライアン、たいして時代違わない、っつーの!!
騎手だって、同じ南井でしょー!
オグリのちょっと後、ってだけじゃないの。知らない、ってことはないでしょうよ。
何なの、その「富士子さんとは世代が違いますね、やっぱ」みたいなコメントはっ!
って思ったけど、よく調べたら、6年くらい違ってた。
そもそも、料理長(かっこいい)は38歳と若いんだった。
従って、オグリキャップ登場時、彼はまだ小学生。
そりゃー、知らないや。
ギャフン!
ま、気を取り直して、次回、東京競馬場のクイーンカップをお楽しみに!
(これも牝馬レース)
明日もバイト頑張りまーす。