金髪のキッチン男子、天使くんの魅力
新宿は雪が降りました。寒いッス!
居酒屋でバイトしてる富士子(45歳)です。
厨房では、ダントツの最年長。孤高の一匹狼(牝)。
他のキッチン男子は、20~30代ですから、富士子は浮きまくりの毎日なのですが、
最近、ほんのちょっとね、みんなと馴染んできた感があります。
とりわけ嬉しいのはね…。
金髪のキッチン男子・天使くん(33歳)と、普通に喋れるようになってきたこと!
彼の人となりが、わかってきたことです。
彼はね、単に金髪ってだけじゃない。耳にも眉間にもピアスしてる。
初めて会ったときは「怖いよーっ」って思いました。→ 金髪で怖いキッチン男子
天使くん、興味のないことにはまるっきり無反応で、当然あたしのことは眼中にない。
最初の二ヶ月間は、口を利くどころか、目すら合わせてもらえませんでした。マジで。
あたしは、恐怖のあまり、極力目立たないように息をひそめ、咳もクシャミも我慢して、気配を消して、エラ呼吸してました。マジで!
当時の、気の毒な富士子の様子は → おばさんの居場所は暗い
しかし!
ある事件がきっかけで、空気が変わった!
些細なことであたしがキレて、たまたまその場にいた天使くんに、八つ当たりしちゃった…っていう、ダサい事件。→ キレちゃって反省
あんだけ怖いと思っていた天使くんに、なんで八つ当たりなんていう暴挙に出たのか、自分でも自分の心境を理解しかねますが、なぜかそれ以降、天使くんがフレンドリーに変身。
「あんとき、富士子さん、面白かったッスよー」
なんて、笑顔で言ってくれるまでになりました。
おばちゃんがキレる様子が、よっぽど楽しかったみたいです。
珍獣扱いされている気が、しないでもありませんが、まあ、喜んで頂けて良かった。
天使くん(33歳)、実は猛烈に仕事ができる人です。
料理長(かっこいい)も頼りにしている。
しかも、よく見りゃイケメン。
怖いと怯えつつも、おばちゃんは興味しんしんで、こっそり彼の様子を伺って、勝手にプロファイリングなどしていたのですが、最近の雑談トークで、彼のミステリーな魅力が明らかになってきました!
あたしが最初に注目したのは、彼の超絶リズミカルでかっこいい包丁さばき。
観察していると、身のこなし全般が、無駄がなくて軽やかで、何かのビートやリズムが体に染み込んでいるような、野生的なところがあります。
これ、本当に普通の人と違ってる。何かがズバ抜けている。
聞いてみると…
案の定、彼は音楽をやっていました。
しかも、ピアノ以外の楽器なら、殆どこなせるんですってよ、奥さん!
実際、見ていればわかるのですが、楽器は相当やりこんでいるはずです。
で、問わず語りに聞いたところによると、ですな…。
20代の殆どを音楽で過ごした(らしい)。
仕事は、今の居酒屋さんが初めて(らしい)。
今のバイトは6年目くらい(らしい)。
33歳-6年=27歳
するってえと、27歳までのお仕事は…?
天使くんの才能を信じる、甲斐性のある恋人がいたらしいのよ、奥さん!!
わーお!
やるじゃん!
現在も、天使くんは彼女と一緒に暮らしています。
女性を渡り歩いた結果の最愛の彼女なのか、最初から寄り添ってくれた彼女なのか、
その辺は、これからリサーチしますけれどね(せんでいい)。
いずれにしてもですよ。
やっぱり、ただの怖い若者じゃなかったです、天使くん(33歳)。
音楽は、今はやっていない、って言ってた。
「音楽で食べていくのは難しいから、現実を受け入れないと…」って言ってた。
おばちゃんは、「そうなんですか…」としか、言えなかった。
情熱のやり場をどうしているのか、心の折り合いをどうつけたのか、
彼の見事な包丁を見ていると、どうしても音楽が聞こえてくる気がして、
切ない気持ちになってきます。
近寄りがたい影があったのは、色んなことがあったからなのかしらね。
真っ平らじゃない、夢も挫折もあった人生。
あたしは、前よりずっと、天使くんが好きになりました!
彼には、まだまだミステリーが残っていましてね。
名札に、「横浜暴走天使」って書き入れていることとか。
それを見て、あたしは「天使くん」ってこっそり呼んでるんですが、どこがどう天使なのか、全く持ってミステリーです。
その辺も、引き続きリサーチします!(せんでいい)
明日は土曜日! 宴会が多そうだわ。
仕込み頑張るぞー。